「World FirstからWorld Leaderへ」
竹内製作所のイノベーションの歩み
1960年代~1970年代
竹内製作所の設立とミニショベルの誕生
1963年8月:竹内製作所設立
当社の創業者である竹内明雄は、長野県埴科郡坂城町に竹内製作所を設立しました。会社設立後の数年間は、下請けとして機械部品の加工を手がけていました。しかし、最終製品までを自社で手がけ、自社ブランドとして世に送り出すという夢は、常に彼の胸の中にありました。
1971年9月
世界初の360度旋回型ミニショベル TB1000の開発・量産
当時、ショベルは大型機が主流で、都市部の道路工事や住宅の基礎工事など、小規模な建設現場では、大型機が進入できないため、シャベルやつるはしを使った手作業に頼らざるを得ませんでした。
そんな中、住宅の基礎工事に携わる人物から、「大型機が入れない狭い場所でも使える、小型で機動性の高いショベルを開発できないか」という依頼が舞い込みます。これは、竹内にとって大きな転機となりました。
竹内は当時を振り返り、「コンセプトはすでに頭の中にあった。あとはショベルを振って機械全体を旋回させるだけだった」と語っています。
試行錯誤を重ね、1971年、世界初の360度旋回型ミニショベル、TB1000が完成しました。
360度旋回を実現するため、TB1000には旋回軸受を採用しました。その発想の原点となったのは、当時パラボラアンテナの駆動に使われていた旋回軸受でした。また、走行機構にはアメリカ製の油圧走行モーターを採用。これは空港の手荷物輸送機に使われていたものでした。
TB1000の発表当時、一部からは「おもちゃのようだ!リビングに飾るのか?」と冗談めかして言われることもありました。
しかし、小型でありながら高い作業効率を発揮するミニショベルは、土木関係者から圧倒的な支持を集め、その優れた操作性は瞬く間に評判となりました。都市部を中心に小規模工事の需要が高まる中、TB1000は一時、生産が追いつかないほどの人気を博しました。
1978年1月
ミニショベルの輸出開始
Takeuchiは、建設機械メーカーとしての第一歩を踏み出しました。都市開発の進展とともにミニショベルの需要はさらに高まり、すべてが順調に進んでいるかのように思われました。しかし、そこには「販売チャネルの未整備」という大きな課題がありました。
どれほど優れた製品を開発しても、それを市場に届ける販売網がなければ、顧客に届けることはできません。
竹内は、まず製造に注力し、大手建設機械メーカーとのOEM契約を結びました。
Takeuchiの機械は国内市場で広く使われるようになりましたが、他社ブランドで販売されていたため、Takeuchiブランドそのものの認知度はなかなか高まりませんでした。
そこで竹内は、国内市場の限界を認識し、「日本市場では大手建設機械メーカーがすでに強固な販売網を築いている。まだ開拓されていない海外市場に目を向けるべきだ」と考えました。
これが、竹内の海外展開の始まりです。
1978年、Takeuchiは自社ブランドでの輸出を開始しました。当初は商社を通じた販売でしたが、翌1979年には米国に現地法人を設立し、直販へと切り替えました。現地の顧客と直接対話することで、より深くニーズを理解し、それを製品改良に生かすことができると考えたのです。
1980年代~1990年代
世界初を切り拓いた技術革新とグローバル展開
1986年9月
世界初のコンパクトクローラーローダーTL20の開発
1985年、竹内は米国の建設現場を訪れ、天候が良いにもかかわらず、従来型のスキッドステアローダーが泥だらけで放置されていることに気付きました。理由を尋ねると、米国の土壌には粘土質の土が多く、雨が降ると地面がぬかるみ、タイヤに泥が付着して作業を続けるのが困難になるとのことでした。当時、スキッドステアローダーは、雨天後のぬかるんだ現場では十分にその性能を発揮できないことが一般的に知られていました。
帰国後、竹内は、雨天やぬかるんだ現場でも稼働できるクローラーローダーの開発に着手。1986年、世界初のコンパクトクローラーローダー、TL20を完成させました。下部体をタイヤからクローラーに変更することで、ぬかるみや不整地でも高い走破性を確保し、効率的な作業を可能にしました。
竹内は、「粘り強い追求心こそが、すべての開発を支える」と強調しています。
「他人を真似するだけではダメだ。顧客の作業をどうすれば機械化できるか、どうすれば作業を楽にできるかを常に考えている。それが本当に大切な信念だ。」
この姿勢は、その後のTakeuchiの製品開発にも受け継がれています。
1989年11月:ベルリンの壁撤去作業での活躍
1989年、ベルリンの壁の撤去作業では、約40台のTakeuchiショベルが、狭く不安定な現場で高い機動性を発揮し、効率的な作業を支えました。その様子は世界中に報道され、Takeuchiのショベルが持つ優れた安全性と操作性が広く知られるきっかけとなりました。
この歴史的な実績は、Takeuchiのグローバル展開をさらに後押しし、1996年の英国現地法人、2000年のフランス現地法人の設立へとつながっていきました。
1990年代
未開拓市場の開拓と顧客志向のイノベーション
Takeuchiが海外市場へ進出した当初、小型ショベルという市場そのものが、まだほとんど存在していませんでした。
通常、新たな市場へ参入する企業は、綿密な市場調査に基づいて販売戦略を構築します。しかし、市場そのものが存在しない場合、市場調査で潜在的な需要を捉えることはできません。
そこでTakeuchiは、自ら市場を切り拓くパイオニアとして、新たな市場の開拓に注力しました。建設機械展示会やデモンストレーションを通じて、小型ショベルの実用性と優れた操作性を実際の作業で示し、その価値を顧客に伝えていきました。
その結果、Takeuchiの小型ショベルは米国のCONEXPOで大きな注目を集め、世界各国へ急速に普及していきました。当初は「おもちゃのようだ」と笑われることもありましたが、実際の掘削作業を目の前にした人々の評価は一変。その実用性と価値は広く認められるようになりました。
世界中のユーザーに受け入れられた背景には、現場主導の開発に対する揺るぎない姿勢がありました。Takeuchiは常に顧客の現場に目を向け、そこで生まれるニーズや課題を製品開発に反映することで、性能、品質、耐久性を高めてきました。
そして、現場から得られる声や知見は、新たな製品や技術を生み出すための貴重な原動力となりました。
1970年代~1990年代
Takeuchiが小型ショベルとして採用してきた世界初の機能
1995
TB070Wの開発と欧州ホイール市場への参入
海外市場での展開を進めていたTakeuchiに、欧州の顧客から「ホイール式ショベルが欲しい」という声が寄せられました。
当時の欧州では、舗装道路や都市部でのインフラ工事が活発に行われており、現場から現場へ自走して移動できるホイール式ショベルの機動性が高く評価されていました。
クローラー式ショベルの開発を中心としてきたTakeuchiにとって、ホイール式ショベルは未知の領域でした。しかし、「現場のニーズに応える、現場発のものづくり」をモットーとするTakeuchiは、顧客の声に応えるため、欧州のホイール式ショベル市場への本格参入を決意します。
ドイツの建設機械メーカーと協力し、自社の7トンクラスのクローラー式ショベル「TB070」をベースに、新モデル「TB070W」の開発に着手しました。
開発における最大の課題は、EU各国の道路交通法への適合でした。ホイール式ショベルはナンバープレートを取得して公道を走行するため、各国の厳しい法規制を満たす必要があったのです。Takeuchiにとって前例のない挑戦でしたが、現地での綿密なヒアリングと地道な仕様調整を重ね、課題を一つひとつクリアしていきました。
そして、粘り強い開発の末、Takeuchi初のホイール式ショベル「TB070W」が誕生しました。これを契機にホイール式ショベル市場へ本格的に参入し、現在では、このカテゴリーがTakeuchiの製品ラインナップを支える重要な柱の一つとなっています。
1999
STS(サイド・トゥ・サイド)ブームシステム搭載, FRシリーズの開発
「小型ショベルの究極の機動性を中型機にも」。
この挑戦的なコンセプトのもと、FRシリーズ初モデルとなるTB75FRが1999年に開発されました。
FRシリーズは、Takeuchi独自のSTS(サイド・トゥ・サイド)ブームシステムとショートテール設計を採用。従来の中型ショベルとは一線を画すコンパクトな車体と、狭い現場での優れた作業性能を実現しました。
独自のSTSブームシステムにより、ブームそのものを左右に動かすことができ、車体を移動させることなく、機械前方の広い範囲で掘削作業を行うことができます。この機構は、特に溝掘り作業で大きな力を発揮します。機械を移動させることなく連続して掘削できる一方、オペレーターは常に作業方向を向いた自然な姿勢を維持できるため、長時間の作業負担を軽減します。
FRシリーズは、卓越した安定性、掘削力、作業範囲を発揮します。さらに、STSブームは車体のセンターラインを越えて後方へ格納することも可能で、トラック幅からわずかにはみ出す程度のスペースで360度旋回できるという、優れた狭所作業性を実現しました。
世界初のSTSブームシステムを搭載したFRシリーズは、Takeuchiの「決して他人を真似しない」という精神を受け継ぐエンジニアたちによって開発されました。
独自の発想と技術から生まれたFRシリーズは、Takeuchiを象徴するユニークな製品の一つとして、今日も世界中の多くのユーザーに支持されています。
2000年代~2020年代
「World’s First」から「World Leader」へ
2000
Takeuchi初のクローラーダンパー「TCR50」の開発
欧州の顧客からの要望に応え、Takeuchi初のクローラーダンパー「TCR50」を開発・上市しました。
当時のクローラーダンパーは、キャブとベッセル(荷台)が一体となって旋回する「上部体旋回方式」が主流でした。これに対し、TCR50はクローラーダンパーとして世界で初めて「旋回ベッセル方式」を採用。キャブを固定し、ベッセルのみを旋回させることで、旋回半径を小さくし、狭い場所でもスムーズにベッセルの向きを変えられるようにしました。
また、オペレーターがベッセルの向きの調整に集中できるため、操作性の向上と安全性の確保にもつながりました。
この革新的な構造は、後にクローラーダンパーの一般的な機構として定着しました。TCR50は、Takeuchiが生み出した「世界初」の技術が、業界全体の新たなスタンダードへと発展したことを象徴するモデルとなりました。
2006
「世界初」のリチウムイオンバッテリーショベル「TB016E」の開発
2000年代半ば、世界的に環境意識が高まり、建設業界でも「ゼロエミッション」や「低騒音化」への取り組みが求められ始めていました。特に欧州では、都市部や屋内での作業環境における排出ガス規制が強化され、建設機械の電動化への関心が急速に高まっていました。
こうした時代の流れを受け、Takeuchiは世界で初めてリチウムイオンバッテリーを搭載したショベル「TB016E」を開発。2006年、フランス・パリで開催された国際見本市「INTERMAT」に出展しました。
TB016Eは、1.6tクラスのショベルのディーゼルエンジンを電動モーターに置き換え、リチウムイオンバッテリーを搭載した試作機として開発されました。排出ガスを出さないゼロエミッションと、静粛性に優れたクリーンな作業性能は、当時としては画期的な技術で、建設機械の電動化を先駆ける挑戦となりました。
その後、Takeuchiの電動化への挑戦は、2010年の「TB117e」(2011年に米国で開催された国際見本市「CONEXPO」に出展)を経て、2023年の「TB20e」のグローバルリリースへとつながっていきます。
2021~2023
ショートテールショベルのラインナップを拡充 ― Rシリーズ
2020年代初頭、レンタル市場の拡大に伴い、後方への張り出しを抑えながら効率的に作業できる、コンパクトなショートテールショベルへの需要が着実に高まっていました。
こうした需要に応えるため、Takeuchiはショートテールショベルのラインナップを拡充し、グローバル市場に向けて「TB325R」「TB335R」「TB350R」を投入しました。
Takeuchiのショートテールショベルは、コンパクトなサイズと優れた安定性を両立し、同クラスのショートテール機においてトップクラスの性能を発揮します。さらに、コンパクトな車体でありながら性能を妥協することなく、広い作業範囲と優れたパワーを実現。一日を通した作業でも、高い生産性と信頼性を発揮します。
これらのモデルは、同クラスの既存モデルをベースに開発されました。既存モデルの性能を維持しながら、より限られたスペースにすべてのコンポーネントを収めることは、大きな挑戦でした。
しかし、長年にわたって培ってきたコンパクトショベル開発の経験と技術を生かし、Takeuchiはショートテールラインナップの拡充を実現。独自の技術と発想によって、新たなRシリーズを確立しました。
2023年9月:Takeuchi初のフルバッテリー駆動ショベル「TB20e」のグローバルリリース
2023年、Takeuchiは「TB20e」をグローバルにリリースしました。TB20eは、Takeuchi初のフルバッテリー駆動ミニショベルであり、電動化への取り組みにおける大きな一歩となりました。
建設機械業界における電動化は世界的な潮流となっています。一方で、バッテリー性能、充電インフラ、現場での稼働条件など、実用化に向けては多くの技術的課題を克服する必要がありました。Takeuchiはこれらの課題に取り組み、性能と環境への配慮を両立させることを目指しました。
TB20eは24.7kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、作業条件に応じて最大8時間の連続運転が可能です。排出ガスを出さず、騒音も大幅に低減しているため、都市部、住宅地、学校、病院など、環境への配慮が求められる現場での使用に適しています。
充電は標準のオンボード充電に対応し、必要に応じてオプションのオフボード高速充電も利用できます。
ディーゼルエンジン機「TB216」と同等の生産性を維持しながら、Takeuchiは革新的な技術と実用的な運用ソリューションを組み合わせてTB20eを開発しました。
また、TB20eにはTakeuchi Fleet Management(TFM)が搭載されており、位置情報、稼働時間、アラートなどを遠隔で監視できます。これにより、フリートの効率化、ダウンタイムの削減、ライフサイクルコストの低減に貢献します。
TB20eは、Takeuchiの挑戦する姿勢と技術力を象徴するモデルです。優れた実用性と環境性能を両立することで、コンパクトショベルの新たな可能性を切り拓き、世界各地で持続可能な建設を支えています。
「世界初」のその先へ
Takeuchiは創業当初から、現場主導のものづくりを軸に歩んできました。ユーザーの声に真摯に耳を傾け、ユーザーの視点から製品を設計することで、数多くの「世界初」の技術革新を生み出し、小型建設機械業界のリーダーとして世界的な認知を獲得してきました。
Takeuchiは、常に新たな基準を切り拓き、それを超えることを目指してきました。これからも世界中のオーナーやオペレーターのニーズに応え続けます。
真の独創性とイノベーションへの情熱、そして「決して他人を真似しない」という精神のもと、Takeuchiはこれからも「世界初」を追求し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきます。